イタリア・オーストリアCLT建設現場見学ツアー

5月21日から30日まで、鈴工・日本福祉大学・ROTHOBLAAS(ロトブラース)社3団体合同企画のCLT建設現場見学ツアーに行ってきました。このツアーにはスーパーゼネコンから㈱竹中工務店様や清水建設㈱からもご参加頂き、非常に有意義なツアーとなりました。今回のブログは、このツアーで見学した一部の現場を詳細させて頂きます。

1.イタリア・パルマ 賃貸オフィス

今年2月にも同じ現場を見学しました。全部で5棟の貸しオフィスからなる現場で、今回の見学では、4棟はすでに建設済みで最後の5棟目の視察となりました。2012に起こったイタリア北部地震は、今回の現場から50km離れたところで起こり、それ以来耐震性に優れた木造建築がイタリアでも人気となってきたそうです。このオフィスも当初販売する予定だったそうですが、人気がありすぎて価格が上昇しすぎ、結局賃貸のオフィスとなったそうです。最後の5棟目は5階建てのCLT建築物となっています。

CLT張り出しフロアー

16m1枚物のCLTエレベーターシャフト

完成形はこんな感じで、全く木造には見えません。もちろん設計にはCAD WORKが使われています。

 

2.Reggio Emilia・イタリア 工場跡リノベーション

1901年設立の軍需工場跡地で、工場建物自体が歴史的建築物に指定されているため、建物を壊さずに利用するのという条件があるという事で、なんとCLTのオフィスを工場の中に建設するという驚きの現場でした。

 

工場内に巨大なCLTで建てられたオフィスが見えます。CLT、集成材、鉄骨の混構造。

 

3.ユニットハウス工場 オーストリア・インスブルク郊外

ヨーロッパでは、現場の施工工数を減らすために、パネル化・ユニット化が急減に増えているとの話を聞いていましたが、今回工場を見学することになりました。この会社では50年前に会社をスタートし、現在では従業員100人で設計が25人、工場に25人のスタッフがいます。オーストリアでは、非住宅の建物がRCから木造にかなり変わってきているという話をお伺いしました。

この会社の社屋もユニット化された建物で、デザイン的にもおしゃれでユニット化された建築物とは思えないようなオフィスでした。

現在はホテルを製造中。2日で3部屋の製造ができるそうです。年末までに約140室を納入する予定とのことです。日本でもユニット化を進める必要があると思いますが、何とか大きなユニットが運べるよう、法整備をしていく必要があると痛感しました。

 

4.ROTHOBLAAS社 CLTセミナー

イタリア北部、南チロル地方に本社を構えるROTHOBLAAS社は、全世界に木造建築用の接合金物や遮音シート等を輸出する有名な企業です。日本市場向けにもCLT用接合金物やビスの輸出に力を入れています。今回のツアーの中にはこのロトブラース社でのCLTセミナーも含まれており、2日間たっぷりCLTの遮音性、気密性や接合金物について学んできました。なんといってもロトブラース社の社屋のかっこいいこと。さすがイタリア企業です。

ブドウ畑に囲まれたロトブラース社

壁には会社のロゴが

5.HOHO ウィーン ■■■24階建てビル建設現場 ■■■

今回のツアーの目玉でもあります、オーストリア・ウィーン郊外に建設中の木造ビルHOHO ウィーンに訪問しました。SEE STADT(ゼーシュタット:湖の街)と呼ばれる場所に新しい鉄道や、マンション、オフィス、ホテル等、新たに街を建設中で、その中にHOHOウィーンと呼ばれる24階建て木造ビルが建設されています。

湖の街という地名が付いている程なので、建設現場の隣は、海水浴ができる湖。実際当日もたくさんの方が泳いでいましたが、後で聞いたらこの街を作るために作った人口湖と聞いてびっくり。

 

写真左が24階建てビルのRCコア部分。

右はほぼ完成に近づく低層棟。高層棟も低層棟も内部は同じと

いう事で今回は、低層棟の内部を見学。

完成したオフィスの一部。壁と天井はCLT現し。

完成図 ホテル、オフィス、マンション、レストラン等が入る予定。

http://www.hoho-wien.at

6.おまけ オーストリア・インスブルク ケーブルカー Nordkettenbahn

インスブルク市内のケーブルカーに乗りました。各駅が非常に斬新なデザインで、感心していたら、なんと設計はあの有名なザハ・ハディッド氏とのこと。こんなところにも彼女の作品があったんですね。感動。新国立競技場は残念なことになりましたが。

ザハ・ハディッド設計の駅。氷河をモデルにしたとか。

今回のツアーは、当社の機械のPRのためでなくゼネコン業界で木造建築に興味を持ってもらいたい

という事で、企画しました。直接機械の営業にはなりませんがゼネコン業界で木造建築を多数採用してもらえれば、巡り巡って機械の需要にもつながるという遠回りかもしれませんが非常に重要なツアーでした。CLTは全く新しいマーケットですので、各分野の関係者がそれぞれの立場で市場の開拓をしていかなければならないと思っています。今回は竹中工務店殿や清水建設殿等スーパーゼネコンからのツアー参加という事で、非常に大手企業の木造建築への熱い思いを感じました。ゼネコン業界からの要望にも木材産業が対応できるように、我々は機械メーカーとしての立場から木材加工インフラを整えられるような提案を、ユーザー様に行っていかなければならない使命感を感じるツアーでした。今後もいろいろな欧州ツアーを企画していきます。